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読書と散歩と雑巾がけ

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十六歩歩くことについて

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どうやら「羊をめぐる冒険」を読むと、わりに思いだしたくないところに思いがとんでいくようで。

家に帰る決心をしたこと、アパートをひきあげることを友人に告げたとき、彼女は手足をバタつかせて怒っていた。ひきあげる前の夜、彼女は「なんで帰るん?なんで帰るん?」涙と鼻水まみれな汚ったない顔してドアのまえに立っていた。その手にはタッパーウエア、中にはアルミ箔に包まれたカレーチャーハン、彼女の恨み辛みをききながら食べたカレーチャーハン。

きょうのお昼は、挽肉とミックスベジタブルとハウスバーモンドカレーのルーだけで作られた少し粉っぽい彼女のカレーチャーハンを作ってみた。「近いんだからいつだって会えるんだから」わたしは本気でそう思っていたけれど、彼女が怒っていたのは、そうはならないことがわかっていたからなんだろうな。


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by dance3e | 2016-01-27 15:42 | ごはん | Comments(0)

水曜の午後のピクニック

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「ねえ、十年って永遠みたいだと思わない?」

10年が永遠だなんて、なんて素敵なのだろう。でも10年が永遠だなんて思えなくなった今のほうが、不思議に気楽な気がする。

読んでいて思いだしたのだけれど、仲の良かった同級生が亡くなったのは成人式のまえの日だった。わたしたちの成人式ではなくて、ひとつ年上の彼女のボーイフレンドの成人式、プレゼントのネクタイを一緒に選ぶためにクルマを走らせていたときのこと、追い越し車線にでたときにはもう前から大型トラックがやってきていた。彼女とそのボーイフレンドは、ネクタイを買うこともなく、成人式に出席することもなかった。わたしが日産のスタンザに乗っていた頃のこと。まだAT車などなかった頃のこと。葬儀には、集まった同級生がグシャグシャに泣いていて、涙ながらも笑顔を見せる母親とは裏腹に、父親のほうはお塩をかけられたウミウシのようにシオシオ、威勢良く泣いている娘と同じ年齢の女の子たちなんか見たくもなかっただろうか。

***

結局のところ彼女が僕に求めていたのは優しさではなかったのだろう。そう思うと、今でも不思議な気持ちになる。空中に浮かんだ目に見えぬ壁にふと手を触れてしまったような悲しい気持ちになる。(P19)



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by dance3e | 2016-01-26 13:21 | ほん | Comments(0)

新しい出発

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この小説は僕にかなりの集中力を要求した。一度そこに足を踏み入れたなら、なかなかそこから自分を解き放つことができなかった。これはやはり店をやりながらでは書けなかったと思う。小説というのは何と言っても暴力的なものなんだとそのときに僕は思った。作家は小説というものを叩きのめして乗りこなすか、あるいはそこから振り落とされて踏み潰されるしかないんだと。そこには融和や協調性の精神はない。白か黒か、勝つか負けるかである。それは目を開かれるような思いであった。これまでの二作では、多少の差こそあれ、僕は楽しみながら小説を書いた。もちろん辛いこともあったけれど、それはある意味ではゲームのようなものであった。

(村上春樹 自作を語るより)

***

村上春樹全作品2「羊をめぐる冒険」にはいりました。

なかなか冬らしい冬がやってこなくて、冬らしい冬がやってこないことには「春を待つ」こともできないじゃないの心配しちゃうわ。が、やってきました冬らしい冬、冬らしい冬といえば例年になく母が冬らしい冬を過ごしているようで、つまりは家でのんびりテレビをみたり本を読んだりしているようで、そうこうしていると「お義母さん、ごはんですよ」の声かけに「食欲ないわ」が続くようになり、「医者に診てもらってください」心配する義姉の言葉にしぶしぶ検査、異常なし。「動かないからお腹が空かないのよ」めでたし。


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by dance3e | 2016-01-23 21:52 | ほん | Comments(0)

良きゲームを祈る

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残念な午前をやりすごしたきのう、午後は歯科。やっと治療も終り、歯ブラシ片手にモゴモゴ、衛生士さんとのおしゃべり。ずっと面倒をみてもらっていた方がいなくなり、薔薇の話を聞くことができなくなった。かわりに新たな担当者はいきなり「お餅お好きですか?」と、どえらい球を投げてきた。「ふらいでふ(訳:きらいです)」と歯ブラシをくわえたままのわたしのことなどおかまいなし。お餅への愛を熱く語る。そこまで語るのならわたしだって「お餅」は嫌いだけれど「ぜんざい」は好きで、そこのところをじっくり語りあってもいい。語りあってもいいけれど、わたしはこれからパン屋さんに行って実家へ食器を返しにいかなくてはいけない。耐える。

新聞のテレビ欄できょうの「グレーテルのかまど」は樋口一葉のおしるこだわルルルー♪とチェックしつつ眼を横にやると「わたしを離さないで」新ドラマのタイトルが。あのイシグロの小説?とりあえず今夜みてみよう。

「村上春樹全作品1」は「風の歌を聴け」がおわり、「1973年のピンボール」にはいりました。風の歌とピンボールを村上さんは「習作」とおっしゃっているけれど、本当に「村上春樹」がぎっしり詰め込まれている印象。「この全集に収録するにあたって、多くの短篇は多少なりとも加筆しているわけだが、この二作についてはまったく筆をいれなかった」という村上さんの言葉に、すべてはここから始まったのだなと、感慨深い。

余談

シャンプーかえてみました。



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by dance3e | 2016-01-15 19:00 | ほん | Comments(0)

本日の残念な写真

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朝食のパンの買い置きがなくなっており、血眼で探しあてた冷凍庫の奥の霜まみれな食パンの切れ端を涙をのんで焼いたなら真っ黒に焦げ、オムレツとコーヒーでいいやとタマゴをジュー、ゴリゴリと胡椒を挽くとゴリゴリがゴキン、む?うさぎの耳が折れ、お昼は簡単にパスタでいいやとミツギモノのパスタソースセットの箱を開けたならイカスミしか残っておらず、賞味期限が2013年。

頑張れ、わたし。


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by dance3e | 2016-01-14 12:01 | ごはん | Comments(0)

誰もが知っていることを小説に書いて、いったい何の意味がある?

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冷蔵庫を開けるたび、プレデターみたいなやつにウッ!と小さく唸るきょう、村上さんは67歳になり、わたしは「風の歌を聴け」を読んでいて、村上さんが最初に書いた小説を読んでいて。

こんな作品だった?ぶっ飛び具合を楽しみつつ「少なくともここに語られていることは現在の僕におけるベストだ。つけ加えることはなにもない。それでも僕はこんな風にも考えている。うまくいけばずっと先に、何年か何十年か先に、救済された自分を発見することができるかもしれない、と。そしてその時、象は平原に還り僕はより美しい言葉で世界を語り始めるだろう」という宣言を、しみじみとかみしめ胸を熱くする。




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by dance3e | 2016-01-13 00:06 | ほん | Comments(0)

新年の読書

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2016年、はてさてなにを読もうか。ガツンと面白い本が読みたい。悩む。とりあえず途中で放り出してしまった本を読んでみるのはどうだろう。本というのは出会うタイミングもあるから・・などと妙な気を起こしたのが敗因なのか、性懲りもなく出会うタイミングを間違えたのか、ドリス・レッシング「夕映えの道」を読み始めたなら気が滅入ってしょうがない。だからあなたは放り出されるのよキー!!再び放り出す。今年は「村上春樹全作品」を順番に読みすすめるつもり、ということで只今「風の歌を聴け」。


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by dance3e | 2016-01-11 01:08 | ほん | Comments(0)

ばいばいまたね

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「ばいばいまたね」と息子を笑顔で見送ることができてよかった。永遠の「ばいばい」にならなくてよかった。本当によかった。

大晦日、おせち料理をつまみながら「笑ってはいけない」で大笑い、年越し蕎麦を食べ、除夜の鐘の音をきき、「あけましておめでとうございます」家族三人それぞれがそれぞれにペコリペコリ、機嫌良く2016年を迎えることができましたありがとうございます。

が、元日、息子の嘔吐と下痢が始まりまして熱がグイグイ、カラダが痛くて寝ていられないと訴えるので病院へ電話、クルマで運ぶときにはもう足がしびれており、手の指は動かなくなっていて。救急外来で点滴などの処置を受けている間にも、もうこの子はダメなんじゃないかと。結局は脱水状態だったのですね。嘔吐と下痢と発熱による急激な脱水で、血液が末端まで流れなくなっていたようで。慎重にかつ的確に処置してくださった医師に感謝、えらいもので手も足も動くようになり、無事帰宅することができました。

浴びるほどにポカリスエットを飲ませ、4日には元気を取り戻し、本日5日「ばいばいまたね」じぶんの家へと帰っていきました。息子がいなくなって頭の中が空っぽというのか、わたしのココロはどこにいってしまったのか「サビシくなった?」との母からの電話にも、このヒトはなにを言っているのだろう?サビシイの意味が理解できない始末で。

レイモンド・カーヴァー「ささやかだけど役に立つこと」を思いだし、とにかく昨夜ノドを通らなくて冷蔵庫に入れたままにしていた豚の生姜焼きとサラダとふくやの辛子明太子でごはんを少し食べてみたなら、あら美味しい。

ということで出遅れましたが、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。



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by dance3e | 2016-01-06 00:12 | かぞく | Comments(0)